アンチスパイダーマスクについて
反射望遠鏡で星を見ると斜鏡を支えるスパイダーによる回折が見えますがこれを
減少させるマスクについて
http://serge.bertorello.free.fr/antiaigr/antiaigr.html
の中で具体的なマスクの例が載っています。かなり奇妙な形のマスクですが、これが
どの程度効果があるのか簡単なシミュレーションを行いました。
具体的には、マスクをつけたときの回折像の光の強度をExcelで確認してみました。
その方法は、開口に任意のマスクを付けたときの光の強度を近似的に求める
ために,開口を1mmの格子状に分割して各格子点からの回折光をExcelの表で
計算するというやり方です。
口径20cmの望遠鏡の場合、格子点の数は約3万点位になります。マスクを付けた
ときの計算は1mm間隔格子点からマスク部分を除去して行います。
下の図は1mm間隔の格子で描いたマスクです。1mm間隔では細かい所は表現できて
いない部分(小さな爪)もありますが概要は表現されています。
使用した式は開口の点を(ξ、η)、焦点面上の焦点近傍の点を(x, y)、焦点距離をf、
光の波長をλとするとき、cos(K(xξ+yη)/R)です。
但し、K=2π/λ、R=(f^2+x^2+y^2)^(1/2)
焦点面上の焦点近傍の点(x, y)に対して、開口内の全ての格子点についてこの式を
計算し、ξ、ηについての総和(注)の二乗を求めると、
これが点(x, y)での回折像の光の強度になります。(x, y)の値を変えることにより回折像
の光の強度分布が求まります。
■シミュレーション結果
■シミュレーション結果の説明
D=20cm, f=1600mm、中央遮蔽の直径40mm、5mm幅の十字スパイダーのケースと、
アンチスパイダーマスクを付けたケースに関するExcelによる計算結果です。
横軸の目盛は、焦点面での回折像の大きさの単位でμm、縦軸は回折像の光の強度で、
20cm無遮蔽望遠鏡のときの強度=1.0を基準にしています。この図はスパイダーの回折
が現れる焦点面のx軸方向の結果を示しています(y軸方向も同じ)。縦軸のスケールmax=1.0
では中心付近以外の強度を表現できないため、スケールmax=0.01の図を横に付けています。
図中に表示されている等級は、光の強度を等級に換算したもので換算式は
A=光量(%),B=1÷(A/100)とするとき、等級=2.51188×log Bを使用しました
(月刊天文1994年7月号のP.55より)。
注目点は、アンチスパイダーマスクでは回折像の中心から35μm以下では回折像が
スパイダーの場合より明るくなるが、35μm以上では回折像の光の強度が大部分で
殆どゼロ(等級では11〜12等級以下)になっていることです。
つまり、星像は肥大化するがスパイクは途中から見えなくなることを示すという結果に
なりました。
■45°方向も計算して、結果のイメージを描きました。
今回は1mm格子による近似計算でしたが明らかにマスクの効果は現れていると思います。
反射望遠鏡で星を見ると斜鏡を支えるスパイダーによる回折が見えますがこれを
減少させるマスクについて
http://serge.bertorello.free.fr/antiaigr/antiaigr.html
の中で具体的なマスクの例が載っています。かなり奇妙な形のマスクですが、これが
どの程度効果があるのか簡単なシミュレーションを行いました。
具体的には、マスクをつけたときの回折像の光の強度をExcelで確認してみました。
その方法は、開口に任意のマスクを付けたときの光の強度を近似的に求める
ために,開口を1mmの格子状に分割して各格子点からの回折光をExcelの表で
計算するというやり方です。
口径20cmの望遠鏡の場合、格子点の数は約3万点位になります。マスクを付けた
ときの計算は1mm間隔格子点からマスク部分を除去して行います。
下の図は1mm間隔の格子で描いたマスクです。1mm間隔では細かい所は表現できて
いない部分(小さな爪)もありますが概要は表現されています。
使用した式は開口の点を(ξ、η)、焦点面上の焦点近傍の点を(x, y)、焦点距離をf、
光の波長をλとするとき、cos(K(xξ+yη)/R)です。
但し、K=2π/λ、R=(f^2+x^2+y^2)^(1/2)
焦点面上の焦点近傍の点(x, y)に対して、開口内の全ての格子点についてこの式を
計算し、ξ、ηについての総和(注)の二乗を求めると、
これが点(x, y)での回折像の光の強度になります。(x, y)の値を変えることにより回折像
の光の強度分布が求まります。
■シミュレーション結果
■シミュレーション結果の説明
D=20cm, f=1600mm、中央遮蔽の直径40mm、5mm幅の十字スパイダーのケースと、
アンチスパイダーマスクを付けたケースに関するExcelによる計算結果です。
横軸の目盛は、焦点面での回折像の大きさの単位でμm、縦軸は回折像の光の強度で、
20cm無遮蔽望遠鏡のときの強度=1.0を基準にしています。この図はスパイダーの回折
が現れる焦点面のx軸方向の結果を示しています(y軸方向も同じ)。縦軸のスケールmax=1.0
では中心付近以外の強度を表現できないため、スケールmax=0.01の図を横に付けています。
図中に表示されている等級は、光の強度を等級に換算したもので換算式は
A=光量(%),B=1÷(A/100)とするとき、等級=2.51188×log Bを使用しました
(月刊天文1994年7月号のP.55より)。
注目点は、アンチスパイダーマスクでは回折像の中心から35μm以下では回折像が
スパイダーの場合より明るくなるが、35μm以上では回折像の光の強度が大部分で
殆どゼロ(等級では11〜12等級以下)になっていることです。
つまり、星像は肥大化するがスパイクは途中から見えなくなることを示すという結果に
なりました。
■45°方向も計算して、結果のイメージを描きました。
今回は1mm格子による近似計算でしたが明らかにマスクの効果は現れていると思います。