Filar micrometer の使用法
2018年11月作成
最初に、ファイラーマイクロメーターの動きについて説明します。使用する機器は
Van Slyke Instruments製の天文用Bifilar Micrometerです(2006年に約2000ドルで購入)。
このファイラ−マイクロメータは、下記のパーツから構成されています;
・マイクロメータ:ミツトヨ製(1/1000"increments)
・暗視野照明装置:リゲルシステムのPlusGuide(black cylinder)
・25mmPlossl Eyepiece+2X Barlow Lens
ファイラーマイクロメーターは、方位目盛盤の横のネジを緩めると、マイクロメーターの
入っているボックス部分(注)が方位目盛盤と独立に回転します。
また、方位目盛盤は黒いアダプターを通して天体望遠鏡の接眼部に接続されます。
従って、方位目盛盤は観測の間、天体望遠鏡の接眼部に固定され、それが回ることは
ありません。回転できるのはマイクロメータボックス部分のみです。
(注)マイクロメーターのボックス部分には、一方にマイクロメーターヘッド、反対側にアナログのメーター
が付いています。
角度目盛の円盤は矢印。角度の目盛の読み取りはボックスの横(図では上)に
付いています。
ファイラーマイクロメーターの使用法は、James Mullaney著 Double and Multiple Stars
の付録5に載っている内容をもとに説明します。
前提条件:天頂プリズムにファイラーマイクロメーターを接続しているとします。
従ってマイクロメーターを覗いたとき、右が東、左が西、上が北、下が南です。
1.二重星の位置角の求め方
@まず、下図は望遠鏡に接続し、二重星を見たときの初期状態です。
中央に見えている2つの点が二重星とします。
A次に、赤道儀の追尾を止めて主星の移動から視野の東西方向を決め
それに合うようにマイクロメーターボックスを回転させます(下図)。
このときマイクロメーターボックスの矢印は北(N)の方向を示しています。
Nの位置は方位円盤の目盛から読み取ります(この場合、-a°)。マイナスは
逆方向を示しています。この-a°は固定された方位目盛盤の0から北を示す
値なので「north point」と呼ばれます。
このnorth pointは観測開始時に測定され、その日の観測では定数として使用
されます。
B今度はいよいよ二重星の方位角を求めます。
二重星がマイクロメーターを覗いたときの横のラインに並ぶように
マイクロメーターボックスを回転させます(下図)。このときの回転角度は
マイクロメーターの矢印から読み取ります(この場合、b°)。
以上の値から、
二重星の位置角 = b°+90°-(-a°)
として求めることができます。
2.二重星の離角の求め方
@二重星A, Bを下の図のようにFixed lineのベースライン上に置き、
一方の星(この場合B星)を0番目のFixed lineとの交点に来るようにします。
このとき、Movable lineはAB間よりも遠くに位置しておきます。
AMovable lineが丁度A星の位置に来るようにマイクロメーターヘッドを
回し、その時のマイクロメーターの値をfirst readingとします。
B今度はA星が0盤目のFixed lineとの交点に来るように望遠鏡を操作
します(下の図)。
CMovable lineが丁度B星の位置に来るようにマイクロメーターヘッドを
回し、その時のマイクロメーターの値をsecond readingとします。
このとき、(second reading - first reading)はAB間の角距離の丁度2倍分
を移動するマイクロメーター値となります。
従って、マイクロメーターの回転数と天空の角距離の関係を示す定数をRと
すると、
二重星A,Bの離角=1/2*R*(second reading - first reading)
となります。
定数Rは、離角の変化が殆どない二重星を測定することにより求められます。
対象の二重星は、Double stars for Calibrationとして公開されています。
2018年11月作成
最初に、ファイラーマイクロメーターの動きについて説明します。使用する機器は
Van Slyke Instruments製の天文用Bifilar Micrometerです(2006年に約2000ドルで購入)。
このファイラ−マイクロメータは、下記のパーツから構成されています;
・マイクロメータ:ミツトヨ製(1/1000"increments)
・暗視野照明装置:リゲルシステムのPlusGuide(black cylinder)
・25mmPlossl Eyepiece+2X Barlow Lens
ファイラーマイクロメーターは、方位目盛盤の横のネジを緩めると、マイクロメーターの
入っているボックス部分(注)が方位目盛盤と独立に回転します。
また、方位目盛盤は黒いアダプターを通して天体望遠鏡の接眼部に接続されます。
従って、方位目盛盤は観測の間、天体望遠鏡の接眼部に固定され、それが回ることは
ありません。回転できるのはマイクロメータボックス部分のみです。
(注)マイクロメーターのボックス部分には、一方にマイクロメーターヘッド、反対側にアナログのメーター
が付いています。
角度目盛の円盤は矢印。角度の目盛の読み取りはボックスの横(図では上)に
付いています。
ファイラーマイクロメーターの使用法は、James Mullaney著 Double and Multiple Stars
の付録5に載っている内容をもとに説明します。
前提条件:天頂プリズムにファイラーマイクロメーターを接続しているとします。
従ってマイクロメーターを覗いたとき、右が東、左が西、上が北、下が南です。
1.二重星の位置角の求め方
@まず、下図は望遠鏡に接続し、二重星を見たときの初期状態です。
中央に見えている2つの点が二重星とします。
A次に、赤道儀の追尾を止めて主星の移動から視野の東西方向を決め
それに合うようにマイクロメーターボックスを回転させます(下図)。
このときマイクロメーターボックスの矢印は北(N)の方向を示しています。
Nの位置は方位円盤の目盛から読み取ります(この場合、-a°)。マイナスは
逆方向を示しています。この-a°は固定された方位目盛盤の0から北を示す
値なので「north point」と呼ばれます。
このnorth pointは観測開始時に測定され、その日の観測では定数として使用
されます。
B今度はいよいよ二重星の方位角を求めます。
二重星がマイクロメーターを覗いたときの横のラインに並ぶように
マイクロメーターボックスを回転させます(下図)。このときの回転角度は
マイクロメーターの矢印から読み取ります(この場合、b°)。
以上の値から、
二重星の位置角 = b°+90°-(-a°)
として求めることができます。
2.二重星の離角の求め方
@二重星A, Bを下の図のようにFixed lineのベースライン上に置き、
一方の星(この場合B星)を0番目のFixed lineとの交点に来るようにします。
このとき、Movable lineはAB間よりも遠くに位置しておきます。
AMovable lineが丁度A星の位置に来るようにマイクロメーターヘッドを
回し、その時のマイクロメーターの値をfirst readingとします。
B今度はA星が0盤目のFixed lineとの交点に来るように望遠鏡を操作
します(下の図)。
CMovable lineが丁度B星の位置に来るようにマイクロメーターヘッドを
回し、その時のマイクロメーターの値をsecond readingとします。
このとき、(second reading - first reading)はAB間の角距離の丁度2倍分
を移動するマイクロメーター値となります。
従って、マイクロメーターの回転数と天空の角距離の関係を示す定数をRと
すると、
二重星A,Bの離角=1/2*R*(second reading - first reading)
となります。
定数Rは、離角の変化が殆どない二重星を測定することにより求められます。
対象の二重星は、Double stars for Calibrationとして公開されています。