球面鏡の収差について 2022年11月作成
球面鏡を反射望遠鏡のミラーとして代用する場合の収差(放物面との偏差)について
いろいろ本を調べてみると、これを求める公式は
TEXEREAU HOW TO MAKE A TELESCOPEのP.17〜P.19
(下記参考文献の(1))に載っていて、それを求める方法は
Andre Danjon, Andre Couder LUNETTES ET TELESCOPESのP.123〜P.134
(下記参考文献の(2))に詳しく載っています。
両方とも球面とパラボラの偏差がλ/4の場合の式は
f^3=34.9*D^4
となっています(単位はcm)。λ/8の場合は
f^3=69.8*D^4
となります。この式でD=6.5cmの場合を求めるとf=49.9cm=500mmとなります。
すなわち、公式からはD=65mm, f=500mmの球面反射望遠鏡の精度は(λ/8)*2=λ/4
となります。
(他の例)
@D=5cmの球面鏡で球面とパラボラの偏差がλ/2の場合、f値は?
→f^3=17.45*D^4を使って求めると、f=222mm。
従って、5cm, F=4の球面鏡の精度(P-V値)はλ/2の半分の精度のλ/1。
AD=114mmの球面鏡でλ/8となるためには、f値は?
→f^3=69.8*D^4を使って求めると、f=105.6cmとなります。
【参考文献】
(1)TEXEREAU HOW TO MAKE A TELESCOPE 1957 INTERSCIENCE
(2)Andre Danjon, Andre Couder LUNETTES ET TELESCOPES 1979 A BLANCHARD PARIS
望遠鏡に関する光学の本(仏語)。700頁あります。明倫館書店の古書にあったので入手。
小型のニュートン反射TAL-65は球面鏡(D=65mm, f=500mm)ですが月や惑星を見ると
非常に良く見えます。
そこで、この球面鏡どの位の精度があるのかを机上で求めて見ました。
球面鏡が完全な球面であるとして鏡の原点で接して鏡の端で交わるような放物面との差
を下の表に示します。
→この結果では、球面鏡とパラボラの差(P-V値)=λ/16となります。
ミラーは入射と反射があるのでλ/16の半分の精度のλ/8がこの球面鏡の波面精度となり、
望遠鏡として十分な値となります。