星見雑記帳 2017年1月〜

2017年9月25日(月)
昨夜は夕方以降雲が多く南天は星が見えませんでしたが、23時を過ぎると晴れてきたので
海王星を見ました。下の図は9/24の23時頃と9/18の23時頃の海王星の位置をスケッチした
ものです。これにより海王星の移動が分かります。9/18では右下側の7.95等の星のすぐ近くに
あり、等光二重星のように見えました。クエスター3.5にTeleVue Panoptic 19mmで見たので、
この円の実視界は0.95度です(倍率は67倍)。


2017年9月22日(金)
相変わらず夜晴れない日が続いています。今年は、梅雨から夏がなく秋雨に入り、曇りの日
が多く、昼間晴れていても夕方から曇り、星が見れた日はごくわずかという状況です。
来月は下記のイベントに参加予定ですが晴れてほしいものです;
  ・星の村スターライトフェスティバル2017
  ・星旅祭2017 in おおたわら
9/24追記;
最近の天候について、星が見れる頻度を考えてみました。
一般の人は日中の天気しか気にしませんが、この地では真冬以外は昼晴れていても夜に
なると曇るパターンが非常に多く、夜の晴天率は非常に低い地方のように思えます。
冬は結構晴れますが、春から秋にかけては全くだめです。どの程度を晴れと見るかにも
よりますが、一応ある程度星が見れるときを晴天とすると、感覚的には月別の晴天率は
 1月、2月:40%  3月から5月:20%  6月から9月:数%(殆ど0) 10月から12月:20%
 →平均すると、(40*2+20*3+20*3)/12=200/12=16%
となります。同好会の定例観望会が年に12回行われますが、この晴天率で見ると<
12*0.16=1.9 すなわち、年に2回弱しか満足に観望できないことになります。これは最近の
実際の結果と大体同じです。これに月のない晴天を望むと、その確率は半分の8%になります。
年間に観望できる日数は365*0.08=29日、一月未満しかありません。もちろん実際には、
雲の切れ間から見えたり、一時的に晴れ間が出たりするので、ベランダ観望のようにそういう
タイミングを待っていれば星を見れる日はもっと増えます。また、夏には朝起きると晴れている
こともあるので、夜半から明け方が晴れる確率が高いのかもしれません。


2017年9月16日(土)
(1)9月12日は9月に入って一番の天気の良い夜でした。2階ベランダからはフォーマル
ハウトが良く見えていたので、そこからみずがめ座の星を辿り海王星を見ました。
(9/16のスケッチは正確でなかったので削除しました(9/25))

次に、ちょうこくしつ座のNGC253を見ましたが、このときは下弦前日の月が昇っていて
NGC253は辛うじて確認できる状態でした。

(2)9月14日は北茨城の小学校の宿泊研修の中で天体観望があり、その支援をしました。
昼は天気が良かったのですが現地へ到着すると空一面の曇りでとても星は見れそうにない
状況でした(雲は早く移動しているので晴れ間が出るかもしれません)。そこで北茨城天文同好会
の人が室内で宇宙や星空の説明を行い、私は、もし土星が現れたらすぐに見れるように隣の
部屋の窓を開けてクエスターを設置し待機しました。暫く待っていると、天頂付近に部分的に
星が見えるようになり、やがて土星付近も晴れてきました。そこで隣の部屋から全員を呼び
なんとか全員に土星を見てもらうことができました。(下の図は、研修場所の部屋の窓の傍に
テーブルを置きクエスターで土星を見たときの様子)。室内から見たので倍率はあまり上げず
ブランドン12mmで107倍でした。


2017年9月4日(月)
先週土曜日の夜は数か月ぶりの晴れた空になりました。ベランダからは南天の一部しか
見えないので、クエスターで月を見て、その後、南の魚座の二重星を見ました。
光度差の大きい二重星ですがβ星、γ星は容易に伴星が見えました。δ星は伴星が10.5等
と暗くこのときは見えませんでした。
ファイラーマイクロメーターでの測定は、この望遠鏡での定数R(value of one revolutionof
the micrometer screw)を決めてから実施になります。
日曜日(9月3日)は朝から非常に天気が良く、夜も期待しましたが夕方から雲が出てきて
空一面を覆い、星は全く見えませんでした。結局夜晴れたのは土曜日の夜だけでした。
(追記)
アマチュアによる二重星の測定は海外では行われています。例えば、クエスター3.5インチ
にマイクロガイドアイピースを使用して測定しているベテランの二重星観測家Ron Tanguay氏
など。→Sky & Telescopeに"Observing double stars for fun and science"として紹介されて
います。

2017年8月25日(金)
昨夜は久しぶり(約1か月)に星が見えました。少し薄い雲があり、いて座付近は肉眼では
2等星がやっと見える程度の空でした。晴れていた時間は少なかったので土星といて座の
球状星団を見ました。土星はイエナのモノセントリック10mmを使用し組み込みのBarlowを
使って216倍で見ました。非常にシャープでコントラストの良い像でした。球状星団のM22は
Brandon24mmに組み込みのBarlowを使用し90倍で見ました。球状星団の星が針を突いた
ような微光星として分解して見え非常に綺麗でした。
下の写真はクエスターにファイラーマイクロメーター(注)を付けたものです。
(注)Van Slyke Instruments社製のBifilar Micrometer



2017年8月6日(日) 原村星まつり&雨情の里星まつり
2つの星祭りは例年よく重なるのでこれまでは北茨城市で開催される雨情の里
星まつりに参加していました。今年は両方に参加することを直前になって計画
しました。原村の方は家族で参加することで準備し前日の8月3日の午前中に
家を出発しましたが、高速に乗る前で老犬のミト(15歳)が落ち着かず、長時間
車に乗せるのは無理なようでした。そこでいったん家に戻り家族を置いて一人で
原村に行くことにしました。ルートは、車で行く場合の5月の小淵沢での観望会と
同じように、常磐道→北関東道→上信越道→中部横断道→国道141→清里です。
清里では予約していたオートキャンプ場に1泊しましたが、夜は曇りで星も見えず、
早めに就寝しました。

翌朝はパンとコーヒーで朝食を済ませて原村へ向かいました。
清里からは少し距離があり、10時前頃に会場に到着し3段目の駐車場に車を
止めました。その後、知っている方に挨拶を済ませ、望遠鏡は観望サイトの空
いている所に設置しました(APQとQuestar)。

昼間は天気が良かったので、地上の風景で両者の見え方を比べたりして
いました。Questarは天文歴の長くない方にはその存在さえも知られて
いないようです。しかし、初めてQuestarを見たという人は地上の風景が
非常にクリアに見える(特にコントラストの良さ)のに感心されているよう
でした(横に並べたAPQ100/640と比べても遜色なし)。また、ファインダー
の切り替えなどその機構に興味がある人も多くありました。
夜晴れれば両者の見比べができたのですが、残念ながら月が短時間見えた
以外は曇りでした。
翌朝は8時前に会場を出発し、昼過ぎに帰宅しました。昼食を済ませて
今度は次の星まつりの会場である北茨城市へ向かいました。会場へは16時
頃に到着し、暗くなるのを待ちました。到着した時は晴れで今夜は月や土星が
見れると期待したのですが、夕食のカレーを食べて外に出ると空一面曇りでした。
さらに濃霧注意報も出て22時近くまで待ちましたが晴れる様子もなく自宅に
帰りました。すると、自宅のある日立市では空は晴れていて満月近くの月が
雲もなく輝いていました。星まつりでは全く星は見えず、帰宅した自宅では
星が輝いているという残念な結果となりました。


2017年7月28日(金)
クエスターを格納する専用のケースはかなり重たいので携帯用には向いて
いません。そこで適当なソフトケースがないかネットで探したところ望遠レンズ
を格納するBACKPACK(*)があり、入手しました;これだと背中にしょって運べる
ので旅行にも持っていくことが可能です。
(*)Think tank photoのGlass Taxi (容量17.6L)


9月24日追加:
バックを背負うとこんな感じになります。
クエスター望遠鏡とコントローラ及び太陽フィルターがバックの中に
入り、卓上三脚の足はバックの横に付けます。これにカメラ用三脚
を持っていけば車で行けない山の上でも星が見れます(カメラ用三脚
がなくても岩場にクエスターの卓上三脚を直接置いてもよいかも)。
福岡へは年に数回帰省するので、そのうちクエスターを持って九重山
へ行ってみたいと思います(学生時代には時々登ったので。星を見る
場所としては九州の尾瀬と言われる「坊がつる」あたり。宿泊は坊がつる
のすぐそばの法華院温泉山荘にすれば望遠鏡以外の荷物は少しで
済みます)。


2017年7月26日(水)
下の写真にはbuilt-inされたファインダーの小さな対物レンズが見えます。
そのレンズの前には45°の平面鏡があり、鏡筒と平行に到達した光を
ファインダーの対物レンズに向けます。このファインダーの焦点距離は
107mmです。アイピースは望遠鏡本体のアイピースがファインダーモード
の場合に使われます。このファインダーの口径は写真のようにとても小さい
ですが、非常に良く見えます。レビュー記事によれば、口径は僅か15mm
だそうです(昔のニコン8cm屈折のファインダーも小さいが非常に良く見える
という話を聞いたことがありますがそれと似ているかもしれません)。



2017年7月23日(日)
昨夜は天文同好会の定例観望会でした。天気は曇りで一部青空が見える
状況で観望は難しいと思われましたが、少ない晴れ間から土星や木星を
見ることができました。クエスターで見る土星や木星は口径89mmとは思えない
ほどよく見えました。特に、木星の縞模様も非常に濃く見えました。アルビレオ
もAPQに負けないようなシャープな星像でした。また、背景の暗さも際立って
いました。
<保護フィルターの件>
市販の望遠レンズ用の保護フィルター(径95mm)(*)を先頭に着けてみました。
これを着けて土星を見てみましたが180倍でも像には影響がほとんどないよう
です。(*)ケンコーのMCプロテクター プロフェッショナル 95mm




2017年7月13日(木)
短い時間でしたが夕暮れ後30分位の間、土星を見ることができました。
2階のベランダにAPQ100/640とQuestar3.5を並べて比較観望をしました。
APQの方が光量があり見え方もやや良いようでしたが、その差は小さく、
口径差を考えるとQuestarはかなり健闘しているように思われました。
次にアンタレスを見ようかとしていたところ雲が広がり本日の観望は終わり
ました。次回晴れたらいろいろな天体を見比べたいと思います。




2017年7月4日(火)
クエスターが届いてから2週間近くになりますが、天候が悪く
雲間から月を少し見た以外はまだ天体を覗いていません。
下記の写真の円柱状の入れ物は、クエスターを輸送するときに
使うケースです。



2017年6月29日(木)
卓上三脚を載せる台に星図を見るためのライトを着けました;
使用したものは、「フレキシブルアーム(どちらもクリップ)」と
レッドライトとして「Rigel SystemsのSkylite」です。
開いている星図は、Pockt Sky Atlasです。
また、右端には、ファイラーマイクロメータを置くホルダーを
着けました。




2017年6月27日(火)
<三脚の2段重ね>
クエスターは卓上三脚なのでこれを載せる台として天体用三脚の上に木製の板を
載せました。安定は良いのでこれで暫く使用できそうです。



2017年6月25日(日)
去年12月中旬に米国のCompany 7に注文していたクエスター3.5(*)がようやく届きました。
  (*) Questar 3.5 Astro Telescope, Pyrex with Broad Band Coatings optics
最初は納期3月末の予定でしたが、遅れの主な要因はPowerguideにあったよう
です。下の写真のコントローラはPoweguide III です。
梅雨に入り天気が悪いので星はまだ見ていませんが、地上の風景を見ると
非常にコントラストが良いようです。




2017年3月19日(日)
あまり話題になっていませんが、今年はメシエ(1730年6月26日〜1817年4月12日)
没後200年の年です(今年のメシエマラソンなどでは少しは話題になってもよいよう
に思いますが。次の節目は2030年の生誕300年ですがまだかなり先です)。
87歳で没したのでかなり長寿です。メシエカタログの内容は本HPに公開していますが、
カタログの最初の頁を日本語で示すと次のようになります;
左右見開きで左側に対象の位置や大きさ、右側に対象の概要が簡潔に書かれて
います。



メシエカタログの最初の版は、1774年に出版された"Memoires de l'Academie" for 1771
の中に登場し、M1からM45をカバーしていました。
最初の追加は、1780年に出版された"Connoissance des Temps" for1783の中に登場。
ここではM68までをカバーしています。ここで、Connoissance des Tempsとは、天体歴
のことで王立アカデミーから発行されました。
最終版は1781年に出版された"Connoissance des Temps" foe 1784の中に登場。ここ
では、M103まで載っています。

2017年2月19日(日)
・先月(1/28)の定例観望会は、月明かりの無い観望会として久しぶりの快晴でした。
(去年は12回の定例観望会で星が見れたのがわずか2回しかありませんでした。)
私は久しぶりに40cmドブソニアンを出し、冬の主な星雲星団を見ました。
写真は日没頃に(多分)金星を見ているところ。バックのパラボラは茨城大学の
電波望遠鏡。

・2/8はソフトウェアの研究会(知働化研究会)に参加のため東京に行きました。そこで
「数学とソフトウェアの接点」という内容でプログラムの抽象解釈(注)の概要を紹介しました。
(注)私のHPの「ソフトウェアと数学の接点」に載せている内容)
・望遠鏡と納期:Cloudy Nightsに、アストロフィジックスの望遠鏡を注文して10年目にようやく
納品されたという話が最近載っていました。これは極端な例かもしれませんが、マニア向けの
天体望遠鏡は入手まである程度待つ必要があるようですね。

2017年2月6日(月)
Cloudy NightsでBifilar Micrometerの話題を検索したら、Van Slyke Engineering廃業!という
ショッキングな話が書いてありました。Van Slyke Engineering社は私がファイラーマイクロメータを
購入した会社ですが、Clody Nightsの内容によると、2013年の山火事で設備が全焼し、ビジネス
をやめたようです。天文用のファイラーマイクロメータを作っていた会社はおそらく世界でここ
だけなので非常に残念です。

2017年1月25日(水)
ファイラーマイクロメータの暗視野照明の調子が悪かったのでふたを開けて中を見てみました。
中にばねがありファイラーを移動するようになっています。配線の接触のせいだったのか暗視野
照明は使えるようになりました。(この暗視野照明はリゲルシステムのものを使用しています。
写真の黒い棒のようなもの。白いつまみは照明の点滅のインターバルを調節します)


2017年1月23日(月)
TM赤道儀の電源
  TM赤道儀は100V,50Hzで動作しますが、これまで使っていたポータブル電源の周波数は55Hzでした。
  今回、12Vから100V,50Hzの正弦波に変換するインバータ(GOODGOODS製)を購入しました。これに
   より野外で正確な追尾を行うことができるようになりました。
  



2017年1月15日(日)
Cloudy NightsのClassic Telescopesのスレッドに「What Classic Telescopes are Very Rare?」というのがあり、
その中でAPQについての記述がありましたのでその部分を引用します;
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Actually, the Zeiss APQ 100/640 belongs in the same class as the Vernonscope refractors, as only 40 or so where made. These are now spread across the world, so you tend to bump into them VERY rarely. I think the majority are in Germany and Japan. One guy in Japan even has two of them, a sizable fraction of the entire production! The APQ 150/1200 is similarly rare, but actually made in a slightly larger number, based on some sources. The APQ 100/1000 and 130/1000 are both much more numerous, the 100/1000 being made in around a thousand copies, the 130mm around 250 - 300.

There's also an ED version of the AS80/840, of which only 20 lenses were ever made, only ten of which had original OTAs made for them, the rest bought as ATM lenses (some of which may have been used in existing AS80/840 scopes, no doubt).

Actually, the rarest Zeiss scope I can think of right now is the first OTA version of the AS80/840, which has a miniature version of the Zeiss AS100/1000 OTA, complete with M52 focuser and in grey livery, made in the 1970'ies. I've NEVER seen one of these, not even a photograph, only a catalogue drawing somewhere on the net. Maybe no one ever ordered one? I can't believe that.
-----(ここまで引用)
これを読むと、APQの中ではAPQ100/640の数が少なく、その多くはドイツと日本にあるようだ。日本には
一人でAPQ100/640を2本も持っている人もいます、などが書かれています。「the 100/1000 being made in
around a thousand copies,」というのは多過ぎでは(ASも含めた数)?