星見雑記帳 2024年1月〜

2024年5月12日(日)
(1)昨夜はすばる天文同好会の5月定例観望会でした。風は少しありましたが天気は
良くクエスター7で月面、二重星などを見ました。5月になり気流が落ち着いてきた
のでようやく二重星観望の時期になりました。二重星は牛飼座ε、乙女座γ、
双子座α、しし座γ、その他M104、M13などです。しし座γは金色の輝きが非常に
きれいでした。牛飼座εは口径18cmで見ると主星からかなり離れてブルーの伴星
が見えます。これまで9cmか10cmで見ていたので18cmで見たときのエアリーディズク
の小ささと伴星離れ方を実感します。
(2)望遠鏡をツァイスAPQ100/640からクエスターに変えてからアイピースは主にブランドン
を使用するようになりました。両方を併用していた時期がありましたが、ツァイスのアッベ
アイピースA-25とブランドン24mmや32mmの見え方の差は殆どないように思いました。
ツァイスはコレクターによる希少価値のプレミアム分値段が高くなっていますが、見え方
からはブランドンで十分だと私は思います。

2024年5月8日(水)
スミス提督の本で二重星団がどんな記述なのかを調べていると、重星の話が
出てきます。h-χのχの方は次のような記述でした(4/9訂正)
→調べてみるとχはχ星のことでした(現在ではペルセウス座7番星)
χ PERSEI.
ペルセウス座の武器を持った手にある粗い三重星。A6.5,黄色、B12,青みがかった色、
C9.5,緑がかった色。カシオペア座δ星からペルセウス座α星に投じられたラインは
その距離の1/3の所でχのすぐ下を通ります。これは広い視野の中にある多重星です。
この視野には、明暗多数の星々が混在し、望遠鏡の集光力と解像力をテストするために
非常に適した場所を提供しています。A星とC星は1824年にJames South卿により測定
されましたが、彼はB星に気づいていません。
→この三重星はどれを指しているのか分かりにくいです。

一方、hの方は、ハーシェル天体記号で33 H VI. PERSEIですが、これ二重星の記述から
始まります;
33 H VI. PERSEI.
ペルセウス座の武器を持った手にある光輝く星の集団にあるデリケートな二重星。
A8,白; B10,薄灰色。この7等から15等の輝かしい星の集団は(望遠鏡の)視野全体を
満たし、格別な素晴らしい光を放っています。中心には小さな星の楕円形の冠があります。
・・・以降略。
→この二重星もはどれを指しているのか疑問です。
上記の三重星、二重星には測定された位置角と離角が載っているので、そこから星を
特定できるかもしれませんが、調べるのに時間がかかりそうです。

2024年5月7日(火)
星の村天文台まつりまで丁度1か月ですが、
  福島県田村市の星の村天文台と
  福岡県八女市星野村にある天文台(星の文化館)
を混同すると話が合わなくなります。東北・関東と九州
では「ほしのむらのてんもんだい」と聞けば自分に近い
ところをイメージするからでしょう。

2024年5月6日(月)
(1)Franklin mintのNewton's Telescopeのレプリカですが、去年入手したものは
台座がなく一部金具が外れていて説明書もないジャンク品でした。
今回、説明書も付いたきれいな状態のものを入手することができました。



説明書を読むと、
Newton's Telescope, presented by the Royal Society,
By permission of the President and Council of the Royal Society
と書いてあるので英国の王立協会の許可の下で作られたようです。



ジャンク品の方は金具が外れたところは直し、台座を自作して誰かに譲ろうと
思います(机の上に飾るインテリア品としては使えそうです)。
(2)スミス提督のCelestial Cycleの本の初版本(全2巻)がニューヨーク州の古書店で
売りに出されていたので入手しました。180年前の本なので紙は古くなっていますが
状態は良いです。透明なシート(ブックカバー)がかけてあるので光って見えます。

刊行年はローマ数字で M.DCCC.XLIV. となっています。
M=1000, DCCC=800, XLIV=44なので1844年です。


2024年5月1日(水)
4月のアクセスログを調べてみました。
■1日当たりの訪問者数:平均=40、最大=78
■ページ別「のヒット数(上位10件)
 1.メインページ:439
 2.星見雑記帳2024年:145
 3.無遮蔽反射について:89
 4.星の回折像:66
 5.自作(40mm軸外しニュートン反射):39
 6.ソフトウェアと数学の接点:39
 7.その他のscope:34
 8.星見雑記帳2023年:33
 9.スミス提督の本から:30
10:同上(牛飼い座ε):26
特徴としては
一日当たりの訪問者数は3月より5件上昇。
星見雑記帳以外では、無遮蔽反射や軸外しニュートン、星の回折像、
スミス提督の本関係へのアクセスが多い。また、天文以外のソフトウェアと
数学の話題にも一定のアクセスがありました。

2024年4月26日(金)
4/21(日)に常陸太田市でフィリピンセブ島に阿久津天体観測所を作った
阿久津さんの講演会があり参加しました。100人以上の参加者があり
阿久津さんのこれまでの歩み、セブ島観測所の建設の話など興味深く
聞きました。その時の様子は茨城新聞のwebに載っています;
阿久津さん常陸太田市で講演

2024年4月23日(火)
天体スケッチの本はあまり見かけませんが、フランス語で
  ASTRODESSIN Observation & dessin en astronomie 全2巻
という本があります。2巻から成り、サイズは星ナビとほぼ同じです。
この本はアマゾンやebayアメリカなど英語圏では見当たらないので
この本を出している所から購入しました。購入先は下記です;
   https://www.astrodessin.com/
太陽系の星やディープスカイなどについて、その描き方や作例などが
詳しく載っています。



(4/25追記)この本の出版社は、AXILONE-ASTRONOMYです。
太陽観測についての本「Astronomie solaire」も出しています。
これの英訳本は下記;
https://solar-astronomy-book.com/
AXILONE(アキシロン)をwebで検索すると、フランスの化粧品メーカーしか
出てきませんでした。

2024年4月22日(月)
■スミス提督の本の紹介で下記の所で星の明るさの記述に誤りがありました
ので原文に沿った説明に訂正しました;
SmythIntro
Leogamma Smyth
Bootsepsiron Smyth
M44Smyth
■今月12日〜14日に行われた天文イベントの井上さんによるレポートが公開されました。
      Deep.Sky.Camp 2024春 in いわき鬼ヶ城
 尚、次回日程は2024年10月25日(金)〜27日(日)の予定です。

2024年4月20日(土)
■国際光器の[ZEISS・希少品]委託販売品コーナーを見ると多数のZEISS中古品
が出ていますが、15cmアポクロマートのAPQ150の鏡筒の価格には驚かされます。
税込みで500万円近くです。また、イエナのSchlfernrohr50/540(アクロマート屈折、
純正赤道儀付)が税込み約70万円です。
Schlfernrohr50/540は非常に珍しい博物館級の望遠鏡のようです。
https://kokusai-kohki.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1915348&csid=4
■反射望遠鏡で星を見ると斜鏡を支えるスパイダーによる回折が見えますが
これを減少させるマスクについてのシミュレーション結果を私のレポートに公開
しました:アンチスパイダーマスクについて

2024年4月11日(木)
・昨晩は晴れたので、すばる天文同好会で臨時観望会がありました。今回の目的は
ポン・ブルックス彗星です。今回初めて望遠鏡(クエスター3.5)で見ました。
さくら宇宙公園は南西に開けているので月が沈む頃まで見れました。

・第12回星の村天文台☆星まつりの出店参加者が田村市HPに公開されました。

2024年4月6日(土)
星ナビ5月号の94ページにフィリピンの阿久津天体観測所の阿久津さんが
一時帰国し常陸太田市で4月21日に講演会があるという記事が載っています。
常陸太田は近くなので参加申し込みをしました。

2024年4月2日(火)
ホームページが4/1から完全に移行しました。リンクがおかしい所があったので
修正しました。今後は見つかり次第修正します。
今回ODNホームページサービスからさくらのレンタルサーバーに切り替えたのですが
容量が大幅に増大し費用も安くなりました。ODNの単位はメガバイト、さくらの単位は
ギガバイトです。
この1か月間のアクセスログを調べてみました。
■1日当たりの訪問者数:平均=35、最大=82
■ページ別「のヒット数(上位10件)
 1.メインページ:399
 2.星見雑記帳2024年:165
 3.星の回折像:40
 4.Main Telescopes:33
 5.自作(40mm軸外しニュートン反射):32
 6.ソフトウェアと数学の接点:28
 7.自己紹介:26
 8.【図解】MTFの話:25
 9.星見雑記帳2022年:25
10:星見雑記帳2023年:25
ソフトウェアと数学のページにもアクセスがあるのは今回初めて知りました。

2024年3月29日(金)
鬼ヶ城Deep Sky Camp 2024春の開催までいよいよ2週間となりました(日程は4月12日(金)〜14日(日))。
申し込み締め切りは3/31です(まだ定員には達していないので参加されたい方は下記連絡先まで)。
尚、鬼ヶ城Deep Sky Campの過去の紹介は「福島県いわき市の鬼ヶ城での観望会」を参照。

この中で、「長焦点アクロマートと短焦点アポクロマートの比較は、Neil English氏の長い記事(Cloudy Nightsに掲載)のStranger than Fiction!の要点を紹介する予定です。
内容としては、長焦点アクロと2枚玉アポの
 ・波長によるストレールレシオ
 ・多色ストレール値とデフォーカスの関係
 ・シーイングに起因するフォーカシングの不正確さの感度
 ・薄明視での多色ストレール値とデフォーカス
です。明所視、薄明視、暗所視についても紹介予定。

2024年3月23日(土)
■今月10日の朝に常陸大宮市の花立山の天文台から見た富士山の画像(すばる天文同好会
のブログ掲載)で富士山の位置が分かるようにマークしました。青空を背景にした白い雪山なので
コントラストが低いです。直線距離を調べると222kmでした。


数学とソフトウェアのページを更新しました。

2024年3月19日(火)
Stranger than Fictionに出てくる「多色ストレール」について調べてみました。
尚、ストレールレシオについては「光学精度」を参照。
■多色ストレール(polychromatic Strehl)とは、
 異なる色でのストレールレシオを測定し、
 次に「人間の眼の明順応感度(下のカーブ)」
 
 に従った重み付けを行うことにより求めます。人間の眼が敏感
 でない波長(例:青から紫)の重みは小さい。
 これは、重み付き眼視多色ストレールとも言います。
 式で表現すると、
 波長λでのストレール=S(λ)
 波長λでの明所の眼の感度=E(λ)
 とするとき、
 多色ストレールPS=(Σ{S(λ)×E(λ)})/ΣE(λ)   (440nm≦λ≦670nm)

■多色ストレールの計算例
11種類の波長(単位:nm)を下記とします。
λ1=422.5, λ2=448.0, λ3=473.5, λ4=499.0, λ5=524.5, λ6=550.0, λ7=575.5, λ8=601.0, λ9=626.5,
λ10=652.0, λ11=677.5
対応するストレール値は、
0.142; 0.635; 0.903; 0.885; 0.902; 0.952; 0.991, 0.998; 0.974; 0.934; 0.895
→これは、過去に市販されていた2枚玉フローライトアポクロマート の例です。
横軸に波長、縦軸にストレール値を取りグラフ表示すると


各波長に対応する眼の明順応感度に対応する11個の重み係数
は下記です;
E(λ1)=0.02, E(λ2)=0.04, E(λ3)=0.09, E(λ4)=0.28, E(λ5)=0.69, E(λ6)=0.98, E(λ7)=0.89, E(λ8)=0.58,
E(λ9)=0.28, E(λ10)=0.08, E(λ11)=0.01
従って、このときの多色ストレール値PSは、
PS==(Σ{S(λ)×E(λ)})/ΣE(λ)
  =(0.02*0.142 + 0.04*0.635 + 0.09*0.903 + 0.28*0.885
     + 0.69*0.902 + 0.98*0.952 + 0.89*0.991 + 0.58*0.998
     + 0.28*0.974 + 0.08*0.934 + 0.01*0.895)/(0.02+0.04+0.09
     +0.28+0.69+0.98+0.89+0.58+0.28+0.08+0.01) = 0.947
すなわち、多色ストレール=94.7%です。


2024年3月17日(日)
昨日はすばる天文同好会の3月定例観望会でした。
高萩市のさくら宇宙公園で実施。今回はクエスター3.5とクエスター7を
並べて主に月面を観望しました(月の全景を3.5,、詳細を7)。
(3/20追記)3月定例観望会の様子がすばる天文同好会のブログに掲載されました;
   3月定例観望会報告






2024年3月15日(金)
先週末の花立山で宿泊観望会の詳細報告がすばる天文同好会のブログ
に掲載されました。
「花立山天文合宿2024.03.09〜10」の参加結果
富士山の写真も青空を背景に微かに白く見えます。

2024年3月12日(火)
星の回折像について初心者向けの説明資料を1年前に作成しました。
式をできるだけ使わずに図で説明するようにしたものです。
 星の回折像

2024年3月11日(月)
 先週土日は花立山で宿泊観望会がありました(参加者17名位)。
夕方風がありましたが天気が良く風も収まり一晩晴れていました。
また、ロッジの2階でメガスタークラスの投影も行いました。これは
BGM(ジェットストリーム)を聞きながらプラネタリウムの四季の移動
する星を眺めてリラックスするというものです。
良く晴れていたので翌日朝には天文台横から富士山も見えました。
詳細は後ですばる天文同好会のブログに載ると思います。


2024年3月4日(月)
今年の星の村天文台まつりの開催予定が田村市のホームページに掲載されました。
日程は6月7日(金)8日(土)9(日)【9日は10時終了】とのことです。
https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20/hosihomura-osirasee.html
毎年行っているので今年も参加予定です。

・星見道具に自作(軸外しニュートン反射)を追加しました。
・軸外しニュートン反射自作を「星を見る道具の工房」のみんなの作品に投稿しました。

2024年2月24日(土)
1か月ぶりの更新です。
■この間の天文活動は下記2件です。
・1月28日(日):川崎天文同好会の年初集会に参加。
    →ここで、軸外しニュートン反射製作について紹介しました。
・2月17日(土):すばる天文同好会の2月定例観望会に参加。
ODNのホームページサービスが3月末に停止する件ですが、
■さくらのレンタルサーバーに移行することにしました。移行が完了
 したら連絡します。
■鬼ヶ城Deep Sky Camp 2024春の開催案内が届きました。
 日程は4月12日(金)〜14日(日)です。


2024年1月25日(木)
(1)Hinode 6x21-U1双眼鏡を購入しました。ツァイス10×40mmと比べると
かなり小さいです。旅行などに丁度良いサイズです。見え方も非常に
明るくクリアで観望会などでちょっと星を捜すのにも使えます。

(2)Stranger than Fiction!という長焦点アクロマートと短焦点アポクロマート
を光学的に分析・比較したNeil English氏の長い記事(Cloudy Nightsに掲載)
をようやく読み終えました。これの要約をパワーポイントに纏める予定です。
(3)ODNのホームページサービスはいよいよ今年の3月でサービス終了です。
このHPは開設して23年が過ぎ累計アクセス数22万近くですが、最近の
アクセス数は1日10〜20件以下と非常に低調です。ODNのサービス停止に
合わせて終了するかどうか検討中です。

2024年1月11日(木)
イタリアのアマチュア天文連盟:Union of Italian Amateur Astronomers
のサイトに「二重星を観察しよう」という内容があります。
これは、二重星観察の紹介や歴史、関連する本などが紹介されています。
イタリア語ですがwebの翻訳機能で大体の意味は分かります。
Osserviamo le stelle doppie
また、今月の空の中で毎月1回、二重星の紹介があります。
2024年1月で紹介されている二重星は、オリオン座ラムダ星です;
Una doppia al mese - Gennaio 2024 - Lambda Orionis (STF 738)
ラムダ星の紹介とスケッチが載っています。
二重星に興味のある人には非常に参考になるサイトです。

2024年1月5日(金)
本日発売の星ナビ2月号の星ナビ広場に去年秋に開催された鬼ヶ城Deep Sky Camp
の報告が載っています(P.92〜94)。
このときの井上さんのレポートは下記です。
 11月10日〜12日Deep Sky Camp in 鬼ヶ城

2024年1月1日(月)
新年、あけましておめでとうございます。

昨年末に作った軸外しニュートン反射の写真を載せます。

↑側面から

↑斜め後ろから。主鏡の光軸調整は3本の押し引き共用のネジ。

↑正面から。斜鏡支持はアルミ薄板で作成。